日语阅读:遠い空に (短篇)

日语阅读:遠い空に (短篇),第1张

日语阅读:遠い空に (短篇),第2张

遠い空に

  奏柚梨

  冬。

  といっても、もう暦の上では春だが。

  そんなある日、私は空を見ていた。

  君は、私の隣で一緒に空を見ている。

  薄い栗色の短い髪に、同じ栗色の透き通った瞳。雪のような白い肌。

  そんな君の隣にいる私は、ボサボサの長い漆黒の髪と同じ色の瞳。普通よりも少し黒い肌。

  初めて逢ったときは、君の事を女だと勘違いするほどに、君は綺麗だった。

  私は、君が好きだった。

  多分、初めて逢ったときから。

  君のことが、ずっと。

  これからもずっと一緒にいたいと思っているのが、私だけでも。

  君のそばに、ずっと。

  空を、どれくらいの時間眺めていたのだろう。

  風に流れていく雲を見るのが、私は好きだった。

  たとえ雲が無くても、私は空が好きだ。

  この蒼い、冬の空が私は好きだった。

  「空が好きなの?」

  空は嫌い。あの蒼さが嫌い。

  「冬が好きなの?」

  冬は嫌い。白い雪が嫌い。

  「じゃあ、夏は?」

  夏は嫌い。セミの鳴く声が嫌い。

  「じゃあ、秋は?」

  秋は嫌い。紅い紅葉も、黄色の銀杏も嫌い。

  「じゃあ、春は?」

  春は嫌い。人との出会いが嫌い。

  「海は?」

  海は嫌い。潮の香りが嫌い。

  「親は?」

  両親も嫌い。私を成績でしか見ない両親が嫌い。

  「友達は?」

  友達も嫌い。本音で話さない友達が嫌い。

  「じゃあ、世界は嫌い?」

  嫌い。争いが無くならない、この世界が嫌い。

  「じゃあ、僕は?」

  君も嫌い。何もかもを見透かされているような、その栗色の瞳が嫌い。

  「そっか。じゃあ、僕が君を嫌いになってもいいの?」

  嫌。嫌いにならないで。私を1人にしないで。

  本当は、綺麗なその栗色の透き通った瞳も、君の全部が大好き。

  広いこの世界も、まだ出会ったことの無い人もすべて好き。

  本音で話さない友達も、それが人を傷つけない方法だと知っているから。

  そんな友達が好き。

  両親も好き。本当は大好きだから、私を見てほしくて。私を褒めてほしくて。

  だから勉強だって何だって頑張れた。

  海の、潮も香りも、波の音も全部。全部好き。

  空が好き。一日中空を見ていても飽きないくらい。

  蒼い、蒼い空が好き。

  人との出会いが訪れる春が好き。たとえ別れが来るとわかっても。

  秋は好き。紅い紅葉も、黄色い銀杏も好き。

  眩しい、夏のあの陽射しが好き。

  白い、雪が。冬が好き。

  本当は、好き。

  「うん。僕も、大好きだよ」

  君のその瞳は、ずっと空を見上げたまま。

  ゆっくりと、話し始める。

  「僕、次の春に引っ越すんだ。遠い街へ」

  私はただ、「うん」と頷く。

  「だから、多分君と空を見るのは最後になると思う」

  今度は、黙って頷く。

  「でも、どこに居ても見上げるこの空はこの街とつながっているから。

  「辛くなったとき、悲しいとき、楽しいとき、嬉しいとき。また、一緒に空を見上げよう」

  私の瞳からは涙が溢れて、声にならない言葉が喉の奥に引っかかる。

  本当は行ってほしくない。そう思っているのに、言葉が出てこない。

  「私のこと、忘れないでね」

  「うん。長期休みにはきっとここに、君のところに来るよ」

  「うん。待ってる」

  遠い、透き通るようなあの蒼い空に誓った、私と君の、2人の約束。

  あの約束が守られることは1度も無かったけど。

  私は今日も、蒼い空を見上げています。

  今日は、嬉しいことがありました。

  君にも、良いことがありますように―――――

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